48Gのシアター公演はご存じの通り、以下の通りである。
 
1.Overture
2.全体曲4曲
3.自己紹介MC
4.ユニット曲5曲
5.一部メンバーのMC
6.全体曲3曲
7.MC(2回に分けて)
8.全体曲1曲
9.アンコール
10.全体曲2曲
11.MC
12.全体曲1曲

 これにHKT48の場合だと10の11間に2分半映像が入り、チームH結成後はその映像の後にAKBメドレーをやるのが恒例になっているが、それを言い出すと話がややこしくなるので割愛する。今日の話は上の基本的な流れに沿って考えてみよう。
 今日の話は「いぇーい」である。
 48Gのメンバーは、曲の合間にかなり「いぇーい」を連発するのだ。公演に行けばすぐに耳に残る。
 上の表で沿えば、まず「3.自己紹介MC」で一人一人が自己紹介をするたびに、メンバーたちは間で「いぇーい」と言う。前列や2列目のメンバーは自分の列の自己紹介が終わるとはけるのだが、後列のメンバーに至っては「3.自己紹介MC」だけで、16回も「いぇーい」と言うのである。ちなみに本店のAKBは「2.全体曲4曲」が終わった後も全員で「いぇーい」と言うので、本店の後列メンバーは4曲歌った段階で17回も「いぇーい」と言うのだ。たかみなは言っているのだ。
 その後も「4.ユニット曲」が終わった後に全員で「いぇーい」、「6.全体曲3曲」が終わった後も「いぇーい」、「7.MC(2回に分けて)」のMCを交替するときも「いぇーい」、更にアンコール明けの「10.全体曲2曲」のあとも「いぇーい」である。これにHKT48の場合は、2分半映像のあとと、日によっては「12.全体曲1曲」のあとも「いぇーい」が聞かれることがある。
 MAXで約23回の「いぇーい」。
 チームHの場合、公演曲は17曲。
 17曲の公演曲に対して23回の「いぇーい」。
 曲に対して「いぇーい」の量は135パーセントである。
 これはあまりにも「いぇーい」のインフレではないだろうか。

そもそもなぜ「いぇーい」と言うのかを考えてみよう。
 自分で考えるのも大切なことだが、面倒なのでここで参考文献を用意する。
 1993年に青心社より発売された「テレビのツボ」でイエー研究家を名乗った枡野幸広氏の論文、「司会者はなぜイエーと言うのか」に早速、答えが用意されていた。
 曰く、
 
1.空白を埋めるため
2.手軽に幸福感が得られる
3.戦争でアメリカに負けたから

 この枡野氏の論文は「司会者」を題材に取り上げているが、目の前のアイドルたちが「いぇーい」と言うのもほぼ同じ理由と思われる。
 つまり、ゆうこすが「いぇーい」と言うのは、曲とMCの「空白を埋めるため」に、「手軽に幸福感を得られる」言葉を、「戦争でアメリカに負けたから」英語で言っているのだ。
 なるほどねえ。
 だが、その答えを見てしまってぼくはため息をついてしまった。
 悲しいかな、「いぇーい」という言葉に意味がないのである。
 ただ、空白を埋めるための手軽な言葉として、多用しているのだ。
 プロの作詞家がプロデュースしているアイドルグループなのに、これでは飲み屋の女性と同じではないか。
「遠くにいても♪ 空は続いている♪」と胸にじーんとさせる歌を唄っている人たちが、そののど元も乾かぬと言うか、同じ時間、同じ空間で、意味のない叫び声を連呼することは非常に悲しいことではないだろうか。

 先述のイエー研究家の枡野氏は、最終的に「イエーは馬鹿に見える」と断言している。
 そこまで論文を読んで、ぼくははたと思いました。
 ゆうこすやさくらを筆頭に、頭のよろしい子の多いHKT48だが、アイドルヲタクとしては、胸の奥で密かに「アイドルは自分よりおつむは馬鹿であってほしい」と願っているものである。
 男って好きな女の子のよりも優位な立場にいたい生き物ですからね。
 もしやそこまでのことを見込んで、わざと馬鹿に見えるように、48Gのアイドルたちは「いぇーい」を連発しているのだろうか。
 もしそうだとしたら、あまりにもしたたかだ。
 ぼくは絶句した。
 すごすぎる……。



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